pH電極の保守

高校の化学実験では,pHメーターは年に1,2回しか使用しない。
通常,pH測定か滴定曲線,電離定数の測定ぐらいだろう。
使用しない期間が長いので,電極の保管時と使用再開時には,
それなりにやるべきことある。

電極の保管

pHメーターの取扱い説明書によれば,
ガラス電極の保管は,つぎのように行うことを推奨している。

  • 3 mol/L KCl水溶液に浸けて保管する
    最良な保管方法は、比較電解質として使用している電解液と同じものを使用する。
    備考:3 mol/L KCl水溶液で保管したの場合、水分蒸発によりKClの結晶が見られるが,結晶を洗い流せば通常通り使用できる。
    メトラーは,長期間の保管には,蒸発しにくいフリスコライト-Bの使用を推奨している
  • pH電極を純水で保管しない
    pH 電極を純水に浸すと純水が液絡部の細孔に進入し,細孔が純水で満たされる。
    純水は電気抵抗が非常に大きいので,ガラス電極内外の電位が等しくならい。
    細孔を満たしている純水が電解液で再度置換されるためには、数時間以上が必要
電極の保守

JIS K 0102:2013による概略は,つぎのとおり。

多くの測定を行った後,pH標準液のpH値の読みが平衡になるのに長時間を要するようになったなら,次の操作を行って電極系(測定セル)の汚れを除く必要がある。

  1. 電極を定期的に(毎日又は毎週)柔らかい紙でよく拭って清浄にする。
    もし,有機物で汚染された場合は,エタノール(7+3)*1,アセトン*2,温めた洗剤溶液などで洗う。
    *1:JIS K 8102 に規定するエタノール(95)を用いて調製
    *2:JIS K 8034 に規定するもの
  2. 有機溶媒は,ガラス膜表面から水を奪い感度低下をもたらすので,短時間の使用にとどめる。有機溶媒を使用した場合,その後,数時間は電極を水に浸して回復を図らなければならない。この場合は,再校正が必要である。
  3. 炭酸カルシウムが付着した場合は,薄い塩酸で溶かす。
  4. 参照電極及び複合電極は,参照電極用電解液に,ガラス電極は,水に浸しておくとよい。

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